この地を治めるヴァロア公の娘ファナ(以下ファナ姫)に恋した男がいた。
身分違いの恋、しかし順当に手柄を立てていけば身分の差は縮まるはず。
時間はまだある、そうまだ・・・。
だが8月のこと。
「ファナ姫は来春に隣国に嫁ぐことが決まった」
崩れてゆく心のなかでカレイドはファナを掠うことを決めた。
次の戦いで手柄を立てれば公との謁見が叶うのだ。
機会はその時にしかない。
今までに貯めた金で「跳躍」の魔法を闇魔導師の老婆から買った。
一回限りの瞬間移動の魔導。法外な値段も気にはならなかった。
ただ一つの言葉を除いては・・・。
「誘拐はうまくいくじゃろうて。だがの、一月後には勇者がお主らの前に現れるぞよ」
「それで、おれはどうなる?」
「ひっひっ。これ以上の予視は代金に入ってはおらんよ。まあ、高い買い物をしてくれたからの、おまけで助言だけはしてやろうかね」
魔石に向かう老婆。
しばらくの沈黙・・・。
「姫さんとうまく付き合うことじゃな。勇者はお主の気持ちなど微塵も汲みやしない。姫さんがどう言うかだけじゃて。ひっひっ・・・それでも買うかね?」
老婆は自明のことを改めて聞いた。
ハネムーンの時間は30日しかない。それを承知の上で姫を掠うのだ。
「いぢめすぎるんじゃないぞ」
いとまを告げる男に言った。 そして謁見の時。
用意していた煙幕を焚き、どよめきを背に受けつつ跳躍の魔導は男とファナ姫を国はずれの古別荘に飛ばした。
最初の行為は姫の知識を問うこと。知識とは言うまでもないセックスに関することだ。
姫は「知っている」と答えた。
嫁入り前ゆえに教育されていたようである。
しかしまったく経験はないし、男性器や性交の現場を見たこともないと。
それは当然であろうし、無垢から調教できなくては掠った甲斐がない。
1ヶ月間ファナ姫には何でも「し放題」に人生のすべてを托した男、そして可憐な獲物がそこにある。
逃げ出さないように足を縛られた少女がいる。
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